更に危険な遺伝子組替食品群が日本に上陸する法案が通過予定:元農水大臣=山田正彦先生ブログ転載
目次
本題
2020年02月14日
お願いがあります。
これから大変なことが今の国会で決められようとしています。
本当に長くなりましたが、渾身を込めて種苗法改定の問題点について書きました。
最後まで読んでシェア拡散していただけませんか。
昨年暮れには塩川局長が私の事務所まで見え、さらに担当課長と数回にわたって聞き取った改定案の問題点を記します。
しかし次の理由によって、私は改定の理由にはならないと考えています。
(1) 政府は種子法廃止法案と同時に、農業競争力強化支援法を成立させて(独)農研機構各都道府県の優良な育種知見を民間に提供することを促進 するとしています。( 8条4項)
審議の際に当時の齋藤農水副大臣は 民間とは海外の事業者も含まれると答弁してます。
シャインマスカットは(独)農研機構の登録品種なので矛盾することになります。
(2) 現行の種苗法21条4項では明文で登録された品種を購入して消費以外の目的で輸出することを禁止するとしています。
シャインマスカットの場合には、(独)農研機構の登録品種ですから、政府は農研機構の代理人として 韓国で育種登録の手続きをすれば差止め裁判もできたはずです。
このように種苗法の改定を必要とする理由はないのです。
②種苗法が改定されると、農業者は登録された品種の育種権利者から自家増殖(採種)の対価を払い許諾を得るか、許諾が得られなければ全ての苗を新しく購入するしかなくなります。
ですから、登録品種は自家増殖(採種)一律禁止になり、違反すると10年以下の懲役1000万以下の罰金共謀罪の対象になります。
公共の種子が廃止されて民間のみつひかりなどになったら、現在でも約8~10倍の価格なので、4000〜5000万円の負担増になりかねません。
コメに限らず麦大豆などの専業農家は、新しく購入した登録品種を3年ほど自家採種して使っていますから、それが出来なくなれば経営的に大きな打撃を受けることになります。
野菜の種子で考えればわかりやすいのですが、日本は30年前までは伝統的な種子で、かつ国産100%でした。ところが今ではF1の種子になり、モンサントなど多国籍企業が海外で生産した種子を毎年購入して、価格も40〜50倍に上がっています。
③自家増殖禁止とは、いちご芋類サトウキビや、りんごみかん等の果樹は苗を購入してそれを自家増殖していますが、それができなくなります。
例えば、いちご農家も登録された県の奨励品種を1本250円で10本ほど購入して、ランナーで6000本に増やしてハウスに移植して栽培しています。
これからは 育種権利者にお金を支払って許諾を毎年得るか、許諾が得られなければ毎年 全ての苗を購入しなければならなくなります。
芋類サトウキビなどでも同様なことになります。
安納芋は種子島の安納地区で栽培されてきた伝統的な品種でしたが、今では品種登録されていますので、これからは種芋から自由に蔓を這わせて増殖することは禁止されます。
サトウキビは沖縄、鹿児島の南西諸島などでは5年に1回収穫したサトウキビから節ごとに切断し芽出しして増殖しています。それが自家増殖禁止になれば、これからは島の重要な産業が消えていくことになりかねません。
果樹栽培農家は一本の苗木を購入して接木挿し木をして増殖してきましたが、これからは同様に対価を払って許諾を得るか、苗木を全て購入しなければならなくなります。
例えばゆめぴりか(コメ)は現在北海道が育種権利者ですが、それを北海道が企業に売却した場合、従来通り自家増殖 が続けられるでしょうか。
農業競争力強化支援法8条4項では、(独)農研機構及び各都道府県の優良な育種知見を民間に提供するとなっています。
この場合は、農業者が北海道と交わした契約の内容を、新しく売却譲渡を受けた育種権の権利者(企業)が引き継ぐことになります。
これまでは農業者は北海道から種苗の提供を受けているだけで契約など交わしていないのが普通です。
契約がないと毎年許諾が必要になって、結局は許諾の代価を支払うか、もしくは種苗を企業の言いなりの価格で買わざるを得なくなります。
⑤今度の改定案では、育種知見を保護するために、種苗の持つ「特性表」が新たに法律になります。
農水省は裁判で、育種権利者の権利を守るために、新たに特性表による権利の保護が必要であると説明しました。
伝統的な茸の栽培農家が企業から育種権を侵害をしてるとして損害賠償を求めて訴えられた事件です。裁判所は、新種の持つ特徴の特性だけをみれば確かに権利を侵害しているかにみえるが、現物を比較しなければ分からないとして企業の主張を棄却したのです。
今回の改定案では、新品種の持つ開花時期、葉の色等特徴を特性表にし、それだけで裁判に勝てるように育種権利者を守るため、条文を新たに加えたのです。
新しい品種を育種登録するには数百万から数千万円の費用がかかり、年間維持費も2万円ほど要するので、企業しか新しい品種の登録はできないことになります。
しかも新品種であると農水省が認めるには、従来の伝統的な品種との違いがなければできないはずですが、どのようにして新しい品種として判断しているのでしょうか。
知財課長は遺伝子解析では不可能で人的能力によるしかないと説明しました。
日本には、大豆だけでも各地によって色も形も味も異なる何万種類もの昔ながらの伝統的な大豆が栽培されています。
大根でも沖縄では島ごとに種類の違う大根があり、三浦大根でも屋号がひとつずつ付いているほどです。
農水省の担当課の言う、人的能力で全て現物を比較して新品種だと判断することは事実上不可能です。
政府は農業者を守るのではなく企業の利益を守るために種苗法を改定しようとしていることは明らかです。
⑥ゲノム編集の種子が、今年から安全審査の手続きもなされないまま、表示もなく、飼料用米などで作付が始まる恐れがあります。
日本政府はゲノム編集食品は遺伝子組み換え食品と違って、異なる種の遺伝子を組み換えて入れるのではないのでアミノ酸に変わりがなく安全であるとしています。
実際に、昨年の10月からゲノム編集食品については、食品安全委員会の審査手続きもなく、生産の届出も任意で表示もされないままに流通が始まりました。
米国同様、有機認証はできないとしたものの、これからゲノム編集による種子が作付けされる可能性が現実のものになってきました。
そうなれば日本は花粉の交雑により、有機栽培のできない遺伝子組み換え汚染農地となってしまうのではないでしょうか。
今度の国会の審議に対して、私たちに何ができるのでしょうか。
種子法が廃止されて種子条例が24の道県でできることになりましたが、同じように都道府県の条例で対抗できることがないか。
これについては改めて私が考えてきたことをお伝えしたいと思います。
《種苗法改定 論点整理と今後についての討論会》
日時:2月20日(木)15:30~18:00(15:10より通行証配布予定)
資料代:500円
主催:日本の種子(たね)を守る会
YouTubeタイトル
2020/01/18公開
【ザ・リアルインサイト】最新号は→
トゥール・ムハメット氏講演会
「中国はウイグルに何をしたのか」
「質疑応答」
楊海英氏インタビュー
「知られざるモンゴルの歴史に日本人が学ぶべきこと」